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バッテリーあがり対策

バッテリーあがり対策

そもそもなんで車を放置するとバッテリーが上がっちゃうのか?

これは2つの避けられない要因が絡んでいます。

1.バッテリーの自己(自然)放電

カーバッテリーに限った話ではないですが、バッテリーは常に溜めた電力を極ゆっくりと消費します。ただし自己放電は主に安くて低品質な開放型バッテリー(液を足すタイプのバッテリー)で顕著な一方、ちゃんとしたメンテナンスフリーバッテリー(液を足さなくてもいいバッテリー)ではだいぶ改善されていて、極端に高温の環境でない限り6ヶ月間ぐらいまでなら無視してもよいレベルです。

2.暗電流による放電

極端に古い車でない限り鍵を抜いていても車がある程度の電気を消費し続けています。これを「暗電流」と呼びます。

家電製品の電源を切っていてもわずかな電力を消費する待機電流と似たようなものです。

困ったことに高級な車ほど暗電流が多い傾向があって、特にここ最近の欧米車はびっくりするくらい消費していることもあり、それをみこしてなのか妙に巨大なバッテリーを積んでいたりします。

日本車でも、キーレスエントリーやセキュリティーアラーム、後付のリモートエンジンスターターの類が装備されている車両ではそういった便利機能のないシンプルな車両よりも暗電流が多くなります。

放置車両で問題となってくるのは主に暗電流です。最低限の電力消費とはいえチリも積もれば。

放置期間が十分に長いとエンジンをかけるパワーを失います。十分に長い放置期間がどのくらいなのかは車両によって異なり、健全なバッテリー、健全な暗電流量でも2週間から3ヶ月など幅があります。最近の欧米車は短期間にバッテリーが上がる傾向があります。

バッテリーが劣化気味だったり、ちょい乗りが多くて慢性的に充電不足であったり、セキュリティーアラームがやたら電気を使うなどで暗電流が多い車では当然期間が短くなってしまいます。

何もせずに放置すれば遅かれ早かれバッテリーが上がりエンジンがかからなくなります。

バッテリー上がりを防ぐ対策、またはバッテリーが上がっても慌てない対策、それぞれを以下のようにまとめてみました。

バッテリー上がりを防ぐ対策
対策A 誰かに乗ってもらい定期的に走らせる

運転に自信があって信頼して頼める方がいるならば週一度で十分なので20km程度または30分以上「じっくりと」乗って走らせてもらう。

バッテリーも上がらないしエンジンの調子も悪くならないし、確実な方法です。

家族以外の所有者ではない他人がドライブする場合には、万が一の事故や違反のリスクがあります。それから多少のガソリン代と戻ってきた時のお土産は必須ですね。

対策B バッテリーターミナル外し

暗電流を止めるのに一番簡単なのがバッテリーの端子を外してしまう、ターミナル外し。

バッテリーから車両に流れる電気を物理的に遮断してしまうのでバッテリーが弱くなる要因は無視できるレベルの自己放電のみとなり、「健全なバッテリー」であれば数カ月間はエンジンがかからなくなることはありません。

バッテリーにつながっているプラス(+)とマイナス(ー)のターミナルのうち、「マイナス(ー)ターミナルだけ」を外すことで安全にバッテリーを車両から電気的に切り離せます。サイズの合った工具(ナットを回すスパナ)があれば、ターミナルのナットを緩めて外すだけ。慣れれば2分もかからないでできる作業です。

※プラス(+)のターミナルは扱いを間違うと危険なので車の電気系の知識がない方はバッテリー交換時以外は触らないこと。

余計なコストもかからず簡単ではありますが、バッテリーターミナルを外すということは車両が「総電源喪失する」ということなので、当然セキュリティーアラームもキーレスエントリーも動かなくなります。車庫内に駐車しておく場合にはまだしも、盗人だらけのこの国でセキュリティーなしに放置するのは不安に思う方も多いかもしれません。

また車のコンピューターが学習した内容が破棄され(工場出荷状態に戻る)時計やラジオやパワーウインドウのオートスイッチがリセットされたり、一部の純正オーディオ/ナビではオリジナルマップディスクを入れ直したりパスワードやパスコードを入れないと不動になるなど様々な初期設定をし直す必要があったりして、電源復帰後の対応を知っておかないと「エンジンはかかるし走れるけどあちこち不便になっちゃった」となる覚悟が必要です。

それから、ターミナルを再接続したときにバッテリーポストの根本まで差し込んでいなかったりちゃんと締めていないと走行中に外れたり緩んだりして一旦エンジンを止めると再起動できなくなって慌ててしまうなどのヒューマンエラーも起こりえます。

放置期間が数ヶ月単位になってしまいなおかつ車庫に保管できる方で、バッテリー再接続後の車の再設定の手間を許容できる人向けです。

対策C ソーラー充電器で補充電

カー用品店やオンラインショップで売っているカーバッテリー用ソーラー充電器は暗電流を相殺する程度の補充電が可能です。

ソーラーパネルの特性として太陽の光がほぼ真っすぐダイレクトにあたった場合にのみピーク性能を発揮するけど、曇ってたりすこし影にかぶったり、陽当り角度が悪かったりするだけで発電量がガクリと落ちます。太陽が沈めば発電は一切望めないし、ソーラーパネルは高温になると発電効率が下がるので車内が熱くなりすぎると本領発揮できないなどもあり、仕様通りの発電が可能なのは1日のうち太陽が都合のいいところに来ている数時間だけ。それなりにハイスペックなものが要求されます。実験をしてみないと確実なことは言えないのですが消費される暗電流の5倍程度の出力があれば問題ないかと考えます。

暗電流が多目の50mAと仮定すると3~4W(ワット)のソーラーパネルが最低ラインということになりそうです。

また、バッテリーに直接接続するのが一番間違いないですが、スマートに配線を隠したり安全な配線をするには少しばかり車の配線スキルが要求されます。

車を日光の入らないガレージ内や立体駐車場に駐車している場合には当然まったく発電されません。

バッテリー上がり後の対策
対策D バッテリー充電器

カーバッテリー用充電器を使ってバッテリー上がりに事後対応する。

バッテリーが上がってしまっていてもバッテリーを数時間充電する時間が取れれば一番確実な方法かもしれません。

車を使う以上いつかバッテリー上がりは経験しますし、バッテリー充電器はいずれにしても持っておくと安心です。

12時間以上充電を待てる時間が取れるならば充電器は安いもの(2Aアンペア程度)でも十分です。

対策E リチウムイオン内臓小型ジャンプスターター

バッテリーが上がってしまっていても、エンジン始動ができれば車の発電機がバッテリーを充電し始めるので走ることができますが、上がっているバッテリー以外の電源を用意しないとなりません。他の車両のバッテリーにジャンプケーブルをつないで電気を分けてもらってエンジンをかけるジャンプスタートが一般的によく行われますが、救援用車両を用意したり協力者が必要だったり、駐車場所によっては救援車がアクセスするスペースの確保が必要だとかそもそもアクセス不可能だったりするなど、一筋縄ではいかないこともあります。

ここ数年、エンジンをスタートすることに特化したモバイルバッテリーのような小型のジャンプスターターが売られていて、これでエンジンをかけるという手段のほうが現実的となってきました。

ただこの手の小型ジャンプスターターは品質がピンキリであまりに安いものは信頼性に劣ります。せっかく買ったのにいざというときに使えないパターンになりかねない。リチウムイオン電池を電源としているので設計や製造管理がしっかりしていない製品は最悪の場合発火や爆発のリスクもあるため、安すぎるものには手を出さないこと。

一つ持っているといつでもバッテリー上がりに対応できて安心なので緊急キット的に車内に置いてしまいがちですが、リチウムイオン電池は高温にめっぽう弱いため、夏の暑い車内に長時間放置すると壊れます。

また自前に充電しておかないと使えないので定期的に充電量を管理する必要があります。

どのくらい耐久性のあるものなのか、どの程度大きいエンジンでもかけられるのかなど、製品によってばらつきや未知の部分が多い製品ではあります。

我々メカニックは業務用の大きなジャンプスターターを日頃使っているので小型ジャンプスターターの実力を知る機会がほとんどなく、評価しきれませんが、手軽なジャンプスターターとしてはアリな商品だと思っています。

ジャンプスタートはあくまでエンジンをかける手段の一つです。上がったバッテリーを十分に充電するには長時間走るかバッテリー充電器で充電する必要があります。

対策F スーパーキャパシター型ジャンプスターター

エンジンをかけることはできないほど弱っているけど電気がなくなってるわけではないカーバッテリーの電力を集めて溜めて、十分に溜めた電気を一気に開放してエンジンをかけるタイプのジャンプスターター。

電気を溜める構造に充電時間のかかるバッテリーではなく、ごく短時間に電気を溜めることができるキャパシター(コンデンサー)を使っているところが画期的です。一方で手順通りに正しく使わないとうまくジャンプできないので、使い方次第では確実性がやや劣る場合があります。

「対策E」の電気を常に貯めておかないと機能しないモバイル型ジャンプスターターとは異なり、使うときに使う分の電気を吸い込ませてジャンプするタイプとなります。このとき電気の供給元を、

自車の弱ったバッテリー(数分でジャンプ準備完了)

他車の元気なバッテリー(1分前後でジャンプ準備完了)

他車のシガーソケット(2分前後でジャンプ準備完了)

USB電源(20~30分前後でジャンプ準備完了)

と複数選べることや、自前の充電管理や保管温度に気を使わなくてもいい点が利点です。

ただ、この記事を書いている時点では販売から日の浅い次世代ジャンプスターターなので十分に評価できていません。

対策G AAのロードサービス

NZのAA(Automotive Association)のロードサービスつき保険やロードサービスに加入しているメンバーならばフリーでジャンプスタートを試みてもらうことができます。ただロードサービスが到着するまで待つ必要があります。

対策G 番外編

ガソリンエンジンのマニュアル車では上記以外に俗に言う「押しがけ」という、車を人力で押して小走り程度の速度まで加速させ、その勢いをエンジンに伝えてエンジンをかけるという方法を取れる場合もあります。しかし、ある程度車の構造を把握していて何度か経験していないと、言われて急にできる代物ではありません。間違うと急発進や無人で車を走らせてしまう危険な事故につながりかねないので、ここではこれ以上言及しません。ガソリンマニュアル車+押しがけ経験者+安全に押しがけができるスペースが確保されている場合。だけに許されるやむおえない最終手段となります。

 

バッテリー上がりの防止や対処法をいくつか上げてみましたが、どれが最適な対応となるかは車の種類や状況によって変わってきます。その時が来てみないとどの方法を取ればいいのかよくわからないし、毎日車を使っていれば他人事かもしれませんが、上に挙げたようなバッテリーあがりの防止法/対処法を「知っておく」だけでも少し心に余裕ができるかもしれません。